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鈴木敏泰(准教授)(2ページ) 分子研リポート2012 | 分子科学研究所

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研究領域の現状 237

鈴 木 敏 泰(准教授) (1998 年 1 月 1 日着任)

A -1).専門領域:有機合成化学

A -2).研究課題:

a). 曲面芳香族分子の開発(芳香族ベルト・サドル) b).電界効果トランジスタのための有機半導体の開発

A -3).研究活動の概略と主な成果

a). グラフェンやその変形であるカーボンナノチューブは,炭素の 6 員環のみから構成され,ゼロのガウス曲率をもつ。 一方,C60に代表されるフラーレンは,6 員環に 5 員環が加わることにより,正のガウス曲率となる。1991年,A .. L .. M ac k ay らは,負のガウス曲率をもつ炭素同素体を初めて提案した。これは,6 員環と 8 員環の組み合わせにより構 成され,periodic. minimal. surface のひとつであるSchwarz’s P-surface を構築する。グラフェンの π 共役が2次元方向 に伸長するのに対して,3次元的なグラフェンと見なすことができる。我々は昨年度,この3次元グラフェンの繰り 返し単位であるテトラベンゾ [8] サーキュレンの合成に成功した。これは,芳香族サドルと呼ぶべき,鞍型の極端に 平面性を失った新ベンゼノイド化合物である。しかしながら,収率が数 % 程度であったため,材料としての評価が 十分ではなかった。今回,2 量化を防ぐための 8 個のメチル基を導入することにより,数 100. mg 単位の昇華精製し たサンプルを得ることができた。まず,有機トランジスタを作成することにより,p 型半導体として機能を検討した。 真空蒸着により形成した薄膜は,分子の非平面性を反映してアモルファスとなった。このため,ホール移動度は 10

–4

. cm

2

/V s 程度であった。今後は,基板温度を上げ結晶化を促進させるか,単結晶トランジスタを検討する必要がある。 さらに,この新規芳香族サドルからユニークな物性を引き出すことに取り組んでいきたい。

B -1). 学術論文

E. KAYAHARA, Y. SAKAMOTO, T. SUZUKI and S. YAMAGO, “Selective Synthesis and Crystal Structure of [10] Cycloparaphenylene,” Org. Lett. 14, 3284–3287 (2012).

B -10).競争的資金

科研費基盤研究 (B)(展開),.「フッ素化フェニレン化合物の有機 E L ディスプレーへの実用化研究」,. 鈴木敏泰. (2000 年 –2001 年 ).

科研費奨励研究 (A ),.「新規含フッ素芳香族化合物の合成と有機 E L 素子における電子輸送材料への応用」,. 阪元洋一. (2000年 – 2001年 ).

科研費基盤研究 (B)(一般)「有機,. トランジスタのための n 型半導体の開発」,.鈴木敏泰.(2002 年 –2003年 ). 科研費若手研究 (B),.「フッ素化ペンタセン類の合成と有機薄膜素子への応用」,.阪元洋一.(2003年 –2004年 ). 科研費若手研究 (B),.「チューブ状多環芳香族炭化水素の合成」,.阪元洋一.(2006年 –2007年 ).

(2)

238 研究領域の現状 C ). 研究活動の課題と展望

京大化研・山子教授を代表者とするC R E ST「超分子化学的アプローチによる環状π 共役分子の創製とその機能」に共同研 究者として参加している(2016年3月まで)。有機 E L や有機トランジスタの材料開発における経験を生かしていきたい。こ れまで,有機デバイスに使われているπ 共役分子は直鎖型のものである。これが環化することによって,どのような固体構 造を取るのか興味深い。アモルファスになるのか,結晶になるのか,それとも分子構造により自由に制御できるのか,その点 を見極めていきたい。我々はここ数年,短いカーボンナノチューブである芳香族ベルトの有機合成に取り組んでいる。これは, 今回の C R E ST のテーマとも合致するので,今後ともその完成を目指していきたいと思う。

参照

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